✨ この記事でわかること
- 部活で身についた力が、美容師に必要な「EQ(感情知性)」そのものである理由
- 先輩17人が「いま現場で効いている」と答えた力の、意外な中身
- 「部活しかしてこなかった」が、実は強みだと言える理由
- 引退してから進路を考え始めても、遅くない理由
✨ 部活を終えた、あなたへ
長く続けてきた部活を、ようやく引退した。そんなタイミングで、こんな風に感じていないでしょうか。
「自分は部活ばっかりで、ほかに何もしてこなかった」
「特別な資格も、目立った特技もない」
「今から進路を考えるなんて、もう遅いんじゃないか」
でも、それは大きな勘違いです。
これまでTAKABI Journalでは、美容師の仕事に欠かせない EQ(感情知性=自分と相手の気持ちに気づき、うまく扱う力) について紹介してきました。実は、部活で毎日積み重ねてきた経験こそ、このEQをすでにしっかり鍛えている証拠なんです。
🌿 野球部で坊主だった先輩が、いま美容師をしています
まず、ひとりの先輩の話から始めさせてください。
いま都内のサロンで美容師として働いている、ある卒業生。「美容の道に進もうと思ったのはいつ頃ですか?」という質問に、こう答えてくれました。
高校時代野球部でずっと坊主だったのですが、髪を伸ばし始めて久しぶりに美容室に行った際にすごく感動し、自分も感動を与える側になりたいと思い美容師を目指しました。
── 卒業生アンケートより
坊主頭で野球に打ち込んでいた高校生が、部活を終えて髪を伸ばし、久しぶりに入った美容室で心を動かされた。進路が動き出したのは、部活が終わったあとだったわけです。
「部活しかしてこなかった」と思っている人にこそ、知っておいてほしい話だと思います。
📌 この記事で紹介する「声」について
この記事に登場するコメントと数字は、高山美容専門学校を卒業してサロンで働く17人の先輩にアンケートで答えていただいたものです。答えてくれた方々の実際の言葉であり、業界全体や卒業生全体の平均を示すものではありません。「こういう先輩がいる」というリアルな一例として読んでみてください。
📊 先輩17人が「いま現場で効いている」と答えたこと
その17人に、「今の仕事に、学校で学んだことで活きてるものはありますか?」と聞きました。返ってきた答えを整理すると、はっきりした偏りがありました。
| 挙げられた内容 | 人数 |
|---|---|
| 挨拶・礼儀・マナー | 10人 |
| 接客・コミュニケーション | 6人 |
| 掃除・「当たり前のことを当たり前に」 | 5人 |
| 練習を続ける継続力 | 3人 |
| チームで作り上げる協調性 | 3人 |
| 基礎的な技術・知識 | 3人 |
| チャレンジ精神・向上心 | 2人 |
技術や知識も挙がってはいます。でも、それより上に並んだのは、挨拶・礼儀・掃除・継続・協調性といった「人としての土台」の話でした。
そして、もうひとつ。「センスがある」「才能があった」という答えは、17人中ひとりも書いていません。「器用」という言葉が出てきたのも、たった1回だけ。しかもそれは、「どんなに不器用でも」という文の中でした。
ここに並んでいるのは、部活で毎日やってきたことばかりではないでしょうか。
💡 部活の「あたりまえ」は、実はぜんぶEQだった
部活動を続けてきた人には、当たり前すぎて気づいていない力があります。それを4つに整理して、これまで紹介してきたEQの要素と照らし合わせてみました。
| 部活で培った力 | 具体的にどんな力か | 対応するEQの要素 |
|---|---|---|
| 継続力 | 単調な練習でも、毎日コツコツ積み重ねられる | 自己管理(気分に左右されず、やるべきことを続ける力) |
| 本番力 | 試合や大会という「一発勝負」でも、力を出しきれる | 自己認識+自己管理(緊張している自分に気づき、コントロールする力) |
| チームワーク | 自分の役割を理解し、仲間と力を合わせて結果を出す | 社会的スキル(周囲と協力して物事を進める力) |
| 人と向き合う力 | 先輩・後輩・監督など、いろんな立場の人と関わってきた | 共感(相手の状況や気持ちを想像しながら関わる力) |
こうして並べてみると、部活で自然と身についてきたものが、〔「感じる力」が評価される就職〕で紹介した「サロンの採用担当者が本当に見ているポイント」と、驚くほど重なっていることがわかります。
ひとつずつ、先輩たちの言葉と一緒に見ていきましょう。
🌿「継続力」と「本番力」は、サロンワークそのもの
美容師の仕事は、地味な練習の積み重ねでできています。技術を覚えるための反復練習、開店前の準備、閉店後の片づけ。華やかに見える仕事の裏側には、部活の朝練や自主練とよく似た、コツコツ続ける時間がたくさんあります。
「学校で学んだことで、いま活きているものは?」という質問への回答に、こんな言葉がありました。
目的のために練習を続ける継続力。個人プレイのようでチームプレイの協調性。感謝やお詫びのような当たり前のこと当たり前にすること。
── 卒業生アンケートより
「継続力」「協調性」──部活の世界でも、何度も耳にしてきた言葉ではないでしょうか。「個人プレイのようでチームプレイ」という表現にいたっては、そのまま部活の話として通じてしまいそうです。
練習を続ける時間の長さは、別の先輩の言葉からも伝わってきます。パーマの技術がなかなか思うようにいかなかった時期の話です。
毎日反省点をいただくことも多く、そのたびに営業後に何度も練習していました。その時期は、自分に向いていないのかなと悩むこともありましたが、その経験が今の成長につながっていると感じています。
── 卒業生アンケートより
うまくいかない日が続いても、練習を積み重ねて乗り越えていく。部活で何度も経験してきたはずのこのプロセスが、そのまま仕事の中にあります。
そして、「本番」もあります。スタイリストやデザイナーとしてデビューするために、試験を設けているサロンがあります。そこは試合や大会と同じ、力を出しきる場面です。
月に1度しか受けられないデザイナー試験に2度不合格となり、合格するまでのモチベーションを維持することが大変でした。しかし、諦めずに努力を続け、厳しい審査を乗り越えた経験があるからこそ、現在は自信を持ってお客様に技術とサービスを提供できていると感じています。
── 卒業生アンケートより
負けた試合のあと、もう一度練習に戻っていく。あの時間を知っている人なら、この気持ちの立て直し方は、きっと想像がつくはずです。
🌿「チームワーク」と「人と向き合う力」は、サロンの土台
サロンはひとりで完結する仕事ではありません。先輩・後輩と協力し合いながらお店を回し、お客様ひとりひとりの気持ちに向き合う。この「チームで動く感覚」と「人の気持ちを想像する感覚」は、部活で先輩・後輩・チームメイトと過ごしてきた時間の中で、すでに育っています。
学生時代のヘアショーの経験を、こう振り返ってくれた先輩がいました。
ヘアショーを通して、一つの作品や目標に向かってみんなで協力して作り上げるチームワークも学び、現在のサロンワークでもその経験が役立っています。
── 卒業生アンケートより
ひとつの目標に向かって、みんなで作り上げる。文化祭やコンクール、大会に向けてチームで動いてきた経験があるなら、この感覚はもう手の中にあります。
そしてもうひとつの土台が、人と向き合う力です。冒頭の集計でも、「挨拶・礼儀・マナー」が10人、「接客・コミュニケーション」が6人と、いちばん多く挙げられていました。
高山で学んだ挨拶や人間力の大切さは、接客や会社での人間関係構築に活きています。
── 卒業生アンケートより
挨拶、礼儀、相手の立場を考えた振る舞い。部活で先輩や監督、他校の選手と関わる中で、自然と身につけてきたものばかりではないでしょうか。
〔美容師の仕事に必要なEQとは〕で紹介した「カウンセリング」「クレーム対応」といった場面も、根っこにあるのは同じ力です。部活で培ってきた「人との関わり方」が、そのまま仕事の土台になるのです。
💡「部活しかしてこなかった」は、伸びしろの証拠
「特技がない」「秀でたものがない」と感じているとしたら、それは謙遜しすぎです。
〔EQは(感情知性)伸ばせる〕でも触れたとおり、EQは生まれつきの才能ではなく、経験によって伸びるスキル。部活で毎日、身体を通して人と関わり、結果に向き合ってきた人は、すでにそのトレーニングを2年、3年と積んできたことになります。
「正直、大変だった時期はありますか?」という質問への答えにも、それがよく表れていました。
自分は不器用で何をやるのにも人よりも出来ないことが多く、何度も挫折しました。そこでも諦めずに努力を続け、技術を磨いてまいりました。
── 卒業生アンケートより
どんなに不器用でも、どんなに出来なくても諦めずにやり続ける努力、やりきる力、負けないメンタル。
── 卒業生アンケートより
「やりきる力」「負けないメンタル」。器用さや、もともとの才能の話は、ここには出てきません。先輩たちが挙げているのは、続けられるかどうか、諦めないでいられるかどうかです。
ちなみに、大変だった時期について答えてくれた17人のうち10人が、その大変さの先にある成長ややりがいにも触れていました。きつかった話で終わっていないのです。これも、苦しい練習の先にある手応えを知っている人には、うなずけるところかもしれません。
「勉強はそこまで得意じゃない」「コミュニケーションが得意なタイプでもない」。そう思っている人ほど、実は部活を通して、気づかないうちに力をつけていることが多いものです。
✨ まとめ ── いままでの頑張りが、そのまま入口になる
部活を引退したばかりのいま、周りが先に進路を決めているように見えて、焦る気持ちが出てくるかもしれません。でも、思い出してみてください。
✨ 部活で、あなたがすでに手にしてきたもの
- 継続力 ── コツコツ積み重ねる力
- 本番力 ── 緊張する場面でも力を出す力
- チームワーク ── 仲間と力を合わせる力
- 人と向き合う力 ── 相手の気持ちを想像する力
これらは全部、部活を通してあなたがすでに手にしてきたものです。そしてそれは、先輩17人が「いま現場で効いている」と答えた力と、ぴたりと重なっています。
「部活しかしてこなかった」のではなく、「部活でちゃんと力をつけてきた」。
そう捉え直すところから、進路探しをゆっくり始めてみてください。あの野球部の先輩も、引退してからのスタートでした。🌿
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